スペインの著名アーティストとは?

文化・芸術系人材の輩出においては、質量ともに世界トップレベルを誇るスペイン。

スペインには各分野でアーティストとして活躍する偉人が後を絶たない。彼らの活躍がスペインの経済や社会にどういう影響を与えているかも含めてお伝えしたい。

今回は、世界を舞台に活躍する現存するスペインの著名なアーティストに着目してみよう。

アートが注目される背景には、美意識や創造性といった精神的豊かさを求める意識が反映されているのだと思われる。複雑な歴史、文化芸術の求心力によって世界中から人が絶え間なく訪れるスペインでは、市民の生活、教育、そして企業の社会活動においても芸術や文化は大きな影響を与え続けている。

それでは分野別にみていくことにしよう。

はじめに音楽の分野では、先ず世界三大テノール、オペラ歌手のプラシド・ドミンゴとジョセップ(ホセ)・カレーラスが真っ先に頭に思い浮かぶ。一方、ポップミュージックでは、70年代以降より 『史上最も多くのレコードを売ったアーティスト』の称号を持つ、フリオ・イグレシアス。続いて2000年代よりラテン・グラミー賞の常連となったアレハンドロ・サンス、現在では伝統音楽フラメンコとエレクトロやR&Bなどを融合した『アーバン・フラメンコ』、『ラテン・ポップ』の歌姫などの異名を持つロザリアが注目を浴びている。

音楽は国境を越えて人々に感動を与えるが、ラテンミュージックのジャンルにおいては、スペイン本土だけにとどまる事なく、紛れもなくスペイン語圏に大きな影響を及ぼしている。

次に、映画監督や俳優について考えてみたい。スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル監督の映画に出演するハリウッド俳優アントニオ・バンデラス、そして現在シャネルのアンバサダーとしても活躍する大女優ペネロペ・クルス、その夫であり同じく大物俳優のハビエル・バルデム。彼主演のアレハンドロ・アメナーバル監督作品『海を飛ぶ夢』はアカデミー外国語映画賞を受賞した。彼らはハリウッドの表舞台に立つことで世界的に著名な映画界のスターとなり、スペイン国内外から注目を浴び続けている。それが証拠に、スペインで毎年秋に開催される最も名高いフェスティバル、サン・セバスティアン国際映画祭では多文化の装いを垣間見ることができ、スペイン映画の名作を選ぶアワード、ゴヤ賞つまりスペイン版アカデミー賞はスペイン映画界にとって欠かせないイベントなのである。

続いて、作家。惜しくも昨年2020年に逝去されたカルロス・ルイス・サフォン氏は日本でもファンの多い偉大な現代小説家であった。彼の作品でスペイン、カタルーニャに興味を持ち、同じくバルセロナを舞台とするイルデ・フォンス・ファルコネスの作品『海のカテドラル』に辿り着いた人も少なくないはずである。

その他存命する小説家を挙げると、アルトゥーロ・ペレス=レベルテ。元戦場特派員として取材を続けていたジャーナリストであり、1994年に小説家に転身。 彼の作品『フランドルの呪画』は、世界的ベストセラー、知のミステリーとして知られ、『ジブラルタルの女王』、『戦場の画家』と合わせて日本語にも翻訳されている程である。

これらの作品に触れるということはスペインの歴史や文化的背景を知り、自然とスペインに興味を持ち、観光やビジネスに繋がるケースも多い。

次に、建築の分野をみていこう。誰もが知る建築家サンティアゴ・カラトラバが設計したスペインのバレンシアにある複合施設『芸術科学都市』は、バレンシアの街が活性化したのは勿論のこと、世界で注目を浴びる都市となるきっかけにもなった。

長い伝統と歴史を持つスペインの魅力的な数々の建築は、国内外のランドマーク的存在となってきた。見た人を魅了してやまないガウディの手がけた歴史建造物から、カラトラバの斬新なデザインまで、スペイン人建築家たちは、建築の世界を彼らのオリジナリティで斬新なものにつくり変えてきた。

一方、同じ現代の建築家でもカラトラバとスタイルの全く異なるラファエル・モネオは、時代を問わず、永続的な建物の重要性を信じてきた。近未来、次世代にも称賛され、終始一貫して流行に左右されないものを造り出す哲学に徹してきた。

代表的なスペイン国内の建築物は、古いものから順に、世界遺産、考古遺跡群のある町メリダにある国立古代ローマ博物館、現在も頻繁に利用されている街のシンボル的存在であるマドリードのアト―チャ駅、セビーリャのサン・パブロ空港、そして世界三大美術館の一つといわれるプラド美術館の増築。彼はこの重要なプラド美術館の拡張に携わり、歴史的建造物と21世紀を巧みに融合させたのである。

そして、最後にスペインの画家。現代スペインを代表するミケル・バルセロは、バレアレス諸島のマヨルカ島出身であり、『現代のピカソ』 ともいわれている。地中海の光と影、マヨルカ島周辺の海とアフリカの大地など自然から豊かな着想を得る稀有な才能を持ち備えている。更には彫刻、陶芸、版画など表現方法は多岐にわたり、2021年早々、日本でミケル・バルセロ展が開催されている程、今まさに世界的に注目を浴びているアーティストの一人なのである。

一方、ポップアートで著名なバレンシア出身の画家・版画家・彫刻家であるマノーロ・バルデスも忘れてはならない。彼の彫刻はかの有名なベラスケス巨匠の作品ラス・メニナス(女官たち)に着想を得て、遊び心を吹き込み、かの有名な古典絵画を立体化させた前衛作家なのである。

こうして現在活躍する様々な分野のアーティストを纏めてみると、歴代の各分野の巨匠、建築家ガウディ、画家のダリ、ピカソ、ベラスケス、ゴヤ、文豪セルバンテスたちによる文化作品や建築物に多大な影響を受けていることは周知の事実である。そして今もなおその作品が伝承され、建造物はその姿を街にいろんな形で残しており、美術館やギャラリー、アート学校等、教育にも反映され、市民の生活にも浸透しているのである。そして、その着想を受け継いでいく次世代のアーティストが新たな形でそれを受け入れ、創造し、表現し、かつてから続くスペインの文化的、芸術的要素というのは今後も根強く引き継がれていくはずである。

これらはスペインの文化遺産であり、強いては教育、留学、観光、国際化にも繋がり、スペインとビジネスを進めていく上で間接的であれ直接的であれ必ず触れる分野であることは間違いない。

スペインの文化・芸術は間違いなく経済の柱の一つとなっており、今後も著名なアーティストの動向には目が離せないのである。

 

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