スペインでの見本市

どの業界においても、見本市の開催はビジネスを拡大していく新たなツールとして21世紀の大きな柱となっているだろう。幸いスペインでは、各分野で最も重要視されている見本市がいくつも催される。中規模のものはスペイン各地で開かれるが、大規模な国際見本市の開催は、マドリードやバルセロナの二大都市に集中している。ここではそのうちの幾つかを紹介してみよう。

 

現在のスペインの経済的影響面から見ると、国内で行われる見本市の中で規模、経済効果共に大きく評価されているのは、世界最大級の携帯通信関連見本市MWC『モバイル・ワールド・コングレス』だ。毎年2月末に開催され、2006年からバルセロナが開催地となっている。日本からはSony、NTTDocomoやPanasonic等が出展し、世界一流のテクノロジー企業が集まり、各社の新製品の発表、最新の通信技術の見せ場、更にはクライアントとの新規契約などの交渉が出来るみりょくてきなミーティングポイントとなっている。2019年の来場者数は11万人を超えており、現在の契約が切れる2023年以降もバルセロナでMWCを開催するよう主催者GSMAに働きかけている。

 

次に、国際的にも有数な食品展示会としてAlimentaria『アリメンタリア』が挙げられる。こちらは二年に一度、4月にバルセロナで開かれ、初回から40年以上経った現在も世界の食品業界の模範となっている。アリメンタリアでは、業界の新商品、最新トレンドが確認でき、著名なシェフによる講演やワークショップ、料理教室、ショークッキングなどが開かれ、各企業にとっては事業をグローバル化するまたとない機会である。このため、2018年開催時には世界中から3100以上の出展者が集まり、2020年には日本パビリオンも初めてアリメンタリアに出展をする予定だ。スペインが美食の国として注目されている証であろう。

一方、マドリードで行われる見本市で最も際立っているのは、観光分野で最大規模を誇る国際観光・旅行博『FITUR』である。2020年に開催40周年を迎えたFITURには毎年世界140か国、1万社以上が出展し、各メディアから注目されているため、ホットな観光情報を入手し、スタートアップやネットワークを広げることが出来る絶好のチャンスとなる。

 

さらに、ファッション業に目を向けると、スペインでは注目すべき見本市が複数ある。中でも、マドリードで開催されるファッション見本市『MoMad』はその一つだ。最新の業界の動向に関心を寄せる製造業者、ディストリビューター、輸出業者が集う年に二回行われる見本市である。特に、品質と価格のバランスが非常に優れているスペインの靴産業向けのセクションや、サステナビリティに特化したブランドや素材が目立つ。その他、ファッション関連の見本市として決して忘れてはならないのが、毎年4月に開催されるブライダル業界世界最大級のBBFW『バルセロナ・ブライダル・ファッションウィーク』である。開催期間中は、ランウェイで行われる35のブランドによるファッションショーを満喫しながら、世界のトレンドをいち早くチェックする。また、広大な展示スペースに400以上の出展者(74%はスペイン国外からの参加)が集まり、さっそく新作コレクションを確認、発注することもできる。欧州ブライダル業界のスタンダードにもなりつつあるこの見本市は、日本から参加するバイヤーが年々増えている。

 

最後に、MICE事業に関わる五大陸向けの大型見本市『IBTM World』や、スマートシティ事業のエキスパートが集まる『Smart City Expo』がバルセロナで開催されていることにも着目したい。いずれも毎年11月に催されており、近年問い合わせも増え、今後益々勢いのある分野であることは間違いない。

 

上記で述べたことは、バルセロナならびにマドリードで行われる主要な見本市やイベントの紹介の一部に過ぎず、2019年に急遽首都マドリードで開催されたCOP25なども今後開催の可能性としては大いに考えられるであろう。これらの二都市はロジスティクスにおいてもオーガナイズの面においても、十分にキャパを持ち備えており、今後もイベント開催に積極的に注力していくことであろう。

 

国際ビジネス部門