スペイン人と交渉をするために

ビジネス交渉は、国際ビジネスの場において重要なツールとなっているものの、戦略的交渉力が足りず、交渉相手の心理的特性を十分に理解していなければ、解決するどころか寧ろ問題を引き起こしてしまうことさえある。交渉相手のビジネスカルチャーを深く理解することで、相手の行動を予測し、先行した準備が出来る。これが交渉成立のための鍵となる。この記事では、ビジネスの場でスペイン人との交渉に臨む上での特徴を分析していく。

 

理論上では、スペインは他の地中海諸国と同様、表面上は協力的であるが実際のところ交渉人は競争心が強い、つまり親切な対応をしてくれるものの、本当はWIN-LOSE(ウィン・ルーズ)にこだわっていると認識されている。しかし、現実はそうでもなく、理論と現実に大きな隔たりがある。

 

明らかな違いは、スペイン人のコミュニケーションの取り方は、はっきりと意思表示をすることである。不明瞭、または遠回しな表現で紛らわせることはせず、関心のないテーマには興味を全く示さない。当然、相手にも同じように明確な姿勢でありながらも、摩擦がおこらないよう入念な説明を求める。もっとも会議の冒頭で、旅のエピソードや前日の食事に関する話題など、何気ない会話をすることで、場の雰囲気を和ませることは必要不可欠だ。

 

また同様に、最初から相手の会社に関する話を切り出すのも望ましくない。というのも、スペイン人はこの点をオープンに話すことを好まないからだ。相手に居心地が悪いと感じさせないために、会社の詳細を聞くのは避けた方が良い。

 

一方で、スペイン人はプレッシャーに極めて悪い印象を持っている。条件合意のためにプレッシャーをかけるという戦略は、全く効果がないため、おすすめはしない。とはいえ、取引内容に関心があることを示すために、会議後はフォローアップをし、進捗状況を確認するのが良いだろう。

 

また、交渉の許容範囲に関しては、スペイン人はオファーから5~10%の幅を持たせ、かつこれは交渉の第一段階から、どの段階になっても変わらないことが多い。とはいえ、スペイン人は譲歩も要求してくるため、予め交渉幅を広く持ち、許容範囲を超えないようにするのが得策だ。

 

さらに、契約書の作成についての所見を述べると、スペイン人は全ての条件を書面に明記するタイプではないが、いかなる摩擦を避けるためにも文書化するのが望ましい。補足として、スペインではビジネス上のトラブルで裁判沙汰になることを嫌い、訴訟を避けるために和解する傾向がある。

 

最後に、スペイン人消費者の平均的な特徴を紐解いてみると、情報通であり要求が多いものの、特定のブランドや製品にこだわる人種ではない、というのが一般論である。売買契約時、商品或いはサービスの付加価値、支払いの便宜性、アフターサービスなどに加えて、料金設定は交渉を成功に導くための判断を下す重要なポイントの一つとなると言えるであろう。

 

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