スペインのワイン産業

スペインのワイン産業は世界でも屈指の勢いを誇る。これを裏付けるスペインワイン市場展望(OEMV :The Spanish Observatory Wine Market)のデータによると、スペインのぶどう栽培面積は世界一で、中国、フランスがこれに続く。ワイン生産量はイタリア、フランスに次いで世界第3位。

2018年のワイン生産量は前年比37%増の4400万hL(ヘクトリットル)だった。スペインのぶどう生産量は世界第4位で、その内訳は96%がワイン醸造用、4%が生食用となっている。他国と違って、スペインでは干しブドウの生産を目的としたブドウ生産は少ない。

スペインにはカスティーリャ・イ・レオン州、カタルーニャ州、ガリシア州を筆頭に、4300以上のワイナリーがあるが、生産量、売上高ともに規模が大きいのは大手生産者グループが所有するワイナリーである。売上高の大きいスペインの生産者は、ガルシア・カリオングループ(Grupo García Carrión、カスティーリャ・ラマンチャ州)、フレシネグループ(Grupo Freixenet、カタルーニャ州)、フェリックス・ソリスグループ(Grupo Félix Solís、カスティーリャ・ラマンチャ州)など。2018年のデータによると、生産量が最も多い州はカスティーリャ・ラマンチャで、2位のカタルーニャ州の5倍以上である。カタルーニャ州はカバの生産が際立つ。3位以下はエクストレマドゥーラ州、バレンシア州、ラ・リオハ州、カスティーリャ・イ・レオン州と続く。

一方、スペインワインは輸出量(ヘクトリットル)では世界一だが、輸出額ではイタリア、フランスに次ぐ第3位となっている。これはリットル当たりのワイン価格が明らかに低いためなのだが、海外における平均ワイン価格は、スペインワインが2.24€/Lであるのに対し、フランスワインは6.61€/Lである。2018~19年度のスペインワインは、輸出額が2.6%減、輸出量が3.3%減となったが、2019年上半期は前年同期と比べて伸びている。スペインワインの輸入量が最も伸びている国は、日本、カナダ、ポルトガルである。

日本市場の輸入ワインランキング(スティルワインを除く)で、スペインワインは現在チリ、フランス、イタリアワインに続く4番目だが、まだ伸びしろを残している。というのも、日欧 EPA発効によるワインのプライスダウンで大幅な輸入増が見込まれているからである。一方、スペインの発泡性ワインは好調で、輸入スパークリングワインランキングで、スペインはフランスに次ぐ2位となっている。好調の理由はカバの知名度によるところが大きい。

ワイン生産と輸出の統計データは一般的に自治州単位だが、高品質で名高いワインはDO(デノミナシオン・デ・オリヘン:原産地呼称)と結びつくことが多い。現在、スペインには70のDOがあり(保護原産地呼称のDOPを含めると95に昇る)、そのうちリオハとプリオラートは最上級のDOCa(デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ:特選DO)に認定されている。国外で最もよく知られているスペインのDOはリオハ、リベラ・デル・ドゥエロ、カバだが、近年はその他のDOの質も向上しており、スペイン国内を中心にその人気が高まっている。カタルーニャ州のプリオラートやぺネデス、アラゴン州のソモンターノ、ガリシア州のリアス・バイシャス、カスティーリャ・イ・レオン州のビエルソ等がその例である。

DOのほかに、スペインにはビノ・デ・パゴ(VP、単一ブドウ畑限定高級ワイン)というランクがあるが、これは原産地呼称統制委員会が定めるワイン法の厳しい醸造プロセスに従って、特定の畑の土壌、気候、ブドウ品種の個性(テロワール)を表現したワインを示す。

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