スペインのファッション産業

D The Brand

スペインにおいて衣服、履物、アクセサリー等の服飾製造業は活気があり、国内総生産の2.9%を占めている。州単位でみるとこの分野の製造業が最も盛んなのはバレンシア州で、これにカタルーニャ、ガリシア、アンダルシア、カスティーリャ・ラマンチャが続いている。また、履物の製造では特にバレアレス諸島が盛んである。企業の売上ランキングでは世界のファストファッション業界をリードするINDITEXや、MANGO、CORTEFIEL、DESIGUALが上位を占める。EU圏内でみるとスペインはフランス、イタリア、ドイツに次ぐ第4位の服飾製品輸出国であり、国際市場におけるスペインブランドのポテンシャルの高さがうかがえる。実際、スペインの売上ランキング上位ブランドにおいては、その売上のおよそ25%を海外市場が占めている。

世界的大企業のINDITEXやMANGOを筆頭とするスペインのファッションブランドの国際市場での成功は、おもにファストファッションにおけるものである。商品のデザイン性のみならず、物流システムやビジネスモデルにおいてもイノベーションが著しい分野だ。今やロンドン、ニューヨーク、パリ、ミラノといったファッションの最先端をいく街のメインショッピングストリートに、スペイン発のファストファッションブランドの店舗を見ることが当たり前のようになった。

スペインのファストファッションブランドが世界的な成功を収める一方で、近年、その対極にあるサスティナブルファッションやスローファッションブランドを目にする機会も増えてきた。オーガニック生地、天然染料、フェアトレード、ハンドメイド、ローカルメイドなどにこだわるメーカー、ブランドである。近い将来、アパレル市場においては、こういったブランドがおおいに存在感を示すようになるだろう。

ブライダルファッションでスペインを代表するブランドというと、世界の売上トップのPRONOVIASと、これに続くROSA CLARÁなどがある。毎年4月末に開催される『バルセロナブライダルファッションウィーク』は、ブライダルファッションの展示会としては世界最大級で、日本から訪れるバイヤーの数も年々増えている。この展示会には国際的なビッグブランドだけでなく、手の込んだ高級なドレスを作る中小のローカルブランドも多数出展しており、日本を含めた海外市場に着実に販路を拡げつつある。

少子高齢化という課題を抱えてはいるものの、日本はスペインのアパレル業界にとって戦略的な鍵を握る重要な海外市場の一つであり、スペインから日本への輸出の約1割をファッション産業が占めている。日本に進出したスペインのファッションブランドで規模が大きいものには、ZARA(98店舗)などいくつかのブランドを展開するINDITEXグループ、LOEWE(39店舗)、TOUS(8店舗)、ADOLFO DOMINGUEZ(17店舗)、CAMPER(47店舗)などがある。※店舗数は日本国内

日本市場におけるスペインファッションやブランドに対するイメージは、他のヨーロッパブランドやファッションと比較しても遜色なく、評価が高い。ファストファッションやブライダルファッションの他、スペインではなめし革、ジュエリー、履物の製造も盛んで、なかでもスペインの革製品は世界の輸出国ランキングで第7位、日本の革製品の輸入ランキングでもトップ10に迫る位置につけている。スペインからのジュエリーの輸入は年間約4000万ユーロ。履物に関しては国別輸入ランキングでスペインは第12位だが、近年スペインからの輸入が確実に伸びており、CAMPERやLOTUSSEのようなスペインの有名ブランドは日本市場に定着した感がある。

 

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