スペインでのビジネスシーンにおける心得

国際的な視点で見ると、スペインのビジネスカルチャーについては大きなステレオタイプがある。ただ、いざスペインでビジネスを始めるとなると、一般的な先入観と必ずしも合致しない、留意すべき点がいくつかある。それらを簡単に紹介する。

まず、スペイン人と仕事をする上で最も大切なことは、『信頼関係』である。ビジネスパートナーやクライアントとなるかもしれない相手から信用されなければ、いい仕事関係は成り立たない。スペイン人はファーストコンタクトではフレンドリーな雑談で場の空気を和らげ、本題に入る前に人と人の関係をまず作ろうとする。先を急ぐばかり、このステップを飛ばしていきなりビジネスの本題に入ると、相手に不信感を抱かせる可能性がある。これは、ビジネスの成功を左右する上で極めて重要なポイントである。

一方、スペイン人は一般的に他人の業績や経済的成功にあまり動じない。よって、ビジネスの場でも、自分をひけらかしたり、大きく見せようとするのは良く見られない。後々の関係を悪くしたくなければ、相手にネガティブな印象を与えないよう、偉そうな言動は控えるべきである。

さらに、ビジネスで長くつきあうためには『誠実さ』も重要である。スペイン人は一度取引を始めた相手に対しては義理を重んじ、文書化されていなくても約束は守るほうだ。文書化といえば、スペインでは口約束も重視されるとはいえ、約束したことはやはり契約書という形で残しておくのが望ましい。

このほか、初めてスペインのパートナーやクライアントと仕事をする際に留意すべきこととしては、

  • スキンシップ:スペイン人は話すときによくスキンシップ(ボディタッチ等)をする。例えば、話し相手の腕をつかんだりするのはごく普通のことだが、これに威嚇的な意味合いはまったくなく、むしろ相手に対する信頼、親近感の表れである。
  • ドレスコード:他のEU諸国と大差はない。男女ともに派手すぎない服装で、豪華すぎないちょっとした小物で自分らしさをだすようにする。
  • 政治や宗教の話は控える。仕事やビジネスの場でこういうテーマを持ち出すことは好ましくない。
  • パートナー間のデシジョンメイキングの会議においては、プロセスが円滑に進むよう、双方の交渉者のポジションは同等である必要がある。

商談の初期段階でビジネスランチやディナーをセッティングするのも悪くない。和やかな雰囲気の中で話せるので、ファーストコンタクトが会食でセッティングされることもしばしばある。レストランは落ち着いて話せる所を選ぶ。また、コミュニケーションに支障がないよう、相手が英語か日本語を話せればベストだが、そうでない場合は通訳者をつけるのが望ましい。また、ビジネスランチやディナーでは、食事が終わって席を立つまでの時間帯(スペインではこの時間帯を『ソブレメサ』と呼ぶ)に大事なことが決まる傾向にあるので、時間には余裕を持っておくようにする。

地方によっては独自の商習慣が加わることもあるが、スペインでビジネスを始めるにあたっては、とりあえず以上のポイントを頭に入れておくとよいだろう。

 

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